ヒーリング9

実在する不死鳥

 

最初、ドル箱の会社を乗っ取られ、それを

すぐさま再建し、それが潰され、また会社を

再建するという繰り返しを、なんど体験して

きたことか。

むかし新潟県に北越銀行があり、その北越

銀行が僕の新商品を売った奇跡的事実もある。

すると馬鹿にしていた世間は手のひら返し。

事業は拡大し、事業収益は、うなぎ上り。

銀行が取引会社を潰した

しかし、その1年後、その銀行は僕の実績に

嫉妬して、再建した会社はまた潰された。

そして、丸裸になった僕の家に、支店長と

副支店長がやってきて、「銀行マンも知ら

ないお金の回し方を、あなたがプレゼンした

ので、企画部全員が飛びついた。あなたは、

我々よりも頭がいい。銀行へ来るお客等も

あなたを称賛する。それがやがては嫉妬に

変わり、あなたの会社を我々が潰すことを

半年もかけて考えた。そしていま、見事に

あなたの会社を潰した。だからあなたより

我々が頭がいいことを証明した。」と言う

筋の通らない発言は、僕を銀行本店に取り

持ちした支店長と副支店長だった。勝手に

嫉妬されることも怖いものだと知る。

 

そのような過激な過程においては、生きる

苦しさ、人生の空しさから、10回ほど自殺を

決行した。しかし、また生き返ってしまう。

それゆえか地元新聞社の社長は、彼はまるで

不死鳥の様だと記事にしたことがある。

だが、この不死鳥も死する時が来たと知る。

 

不死鳥でも死ぬだろう

その時は、リーマンショックの後であった。

新潟県長岡駅まえの商店街では、約9割が

シャッターを下ろし、閉店休業した。

マンションの家賃を二か月滞納する状態になり、

市役所に生活保護を申し入れたけれど、偉い

地位の人が3人も対応し、「高名なあなたは、

再び事業する能力があるから、生活保護は

認めない」と言って、断られて追い返された。

絶望的な現実を突きつけられた。

 

生きることは苦でしかない。
もうあの世へ
還ろう。

 

そう思って、マンションのベランダに立ち、

そこから市内を見渡しながら、「なぜこの

ような苦境になるのか?」と自問した。

すると、「ぜんぶがお前自身のせいだ」と

言う声なき声が背中方向の寝室から聞こえた。

振り向けば、そこに彼がいた。彼とは、人の

目に見えない霊的な存在だ。

<中略>

ふと、ベランダの足元に目をやると、朝顔を

植えたプランターが並んでいた。雪が1cmほど

積雪している。その積雪の中から、1本だけ

もやし状の芽が顔を出していた。朝顔の芽だ。

その朝顔の芽を見て思うことがあった。

世間では、命は尊いものだ、と言うけれど、

それは、本当なのか?

生命があればこそ苦が生じるのではないか?

生命ある人生そのものが本当は、苦ではないか?

だが人はみな、苦を苦と知らず、ただ生きている

ような。。。

事実、現実の社会は、苦の連鎖でしかない。

時季外れに芽をだした朝顔。夜にもなれば、

確実に凍結する。それは朝顔の死。

冬に咲いた朝顔

朝顔よ、お前の仲間は、夏に咲いて去った。

お前は、今夜にも凍結して死ぬだろう。

いま花を咲かせて、死ぬがいい。死にゆく

僕の命をおまえに注ごう。

ベランダにいる寒さから、トイレに行って、

戻ってみれば、なんということだろうか、

直径10cmを超える美しい大輪が咲いていた。

白、紫、淡い赤の色彩を伴っていた。

それを細かく描写するならば、青く固い茎も

葉もなく、蔓もなく、あたかも「つまようじ」の

先端に、凛として咲く朝顔の大輪があった。

偉いぞ、よくやった!

朝顔は、自分の体験を驚きながらも、大きな

満足感を持っていた。それが分かる。

 

このように、ヒーリングができるようになると、

さまざまな生命との境界が無くなり、すべての

生命現象と一つになる。これを分かった者こそ、

初めて、生命は尊いということが出来る。

 

寒いベランダから部屋に戻ると、電話があり、

我が社の顧問として、月給60万円を出すから

上京して欲しいと言う。滞納した家賃の清算、

東京へ移転する費用も生まれたという奇跡。

 

それゆえ現在は西新宿の住人であるということ。

 

終わり