大紀元ニュース・2021年3月7日から引用
【医学古今】 見えない経絡の実体
現代医学の解剖学では、網のように全身に張り
めぐらされている血管と神経を見ることができます。
しかし、漢方医学に記載されている経絡の存在は
現在も確認されていません。
漢方医学の理論によれば、経絡は網のように全身に
張りめぐらされており、中に真気(しんき)が流れて
います。経絡の上にツボが分布しており、これが
鍼灸治療の時に刺激するポイントになっています。
経絡は鍼灸治療だけでなく、漢方医学のすべての治療、
例えば推拿(すいな)、按摩、点穴(てんけつ)、
整骨、生薬治療などにも欠かせない理論の一つです。
病気の発生原理について、漢方医学では、経絡の流れの
滞りに関わっているとみています。何らかの原因で
経絡の流れが悪くなったところに病気が発生します。
鍼灸治療や漢方治療も、主に経絡の流れを邪魔する
もの(邪気)を除去し、その流れを回復する事を目的と
しています。
漢方医学の理論では、経絡は生命体の構造の一部分だと
認識しています。人間だけではなく、動物や植物にも
経絡が存在しています。従って、鍼灸治療は動物や
植物にも同じ様に効くと考えられています。
経絡は生命体の一部として存在していますが、現代
科学では認識することができません。古代の人たちが
どのように経絡を認識できたのかに関して諸説あります。
そのうちの一つは、古代の修煉法に関わっています。
修煉者は、自分の生命の質を高める過程で、現代人の
言うさまざまな「超能力」を身に付けます。これらの
「超能力」で人体を観察すると、経絡の存在が見える
ようになるのです。中国明朝の著名な医学者『本草
綱目』の著者である李時珍(りじちん)は『奇経八
脈考』という著作の中に「内景隧道、唯返観者能照
察之」(経絡というものは自分の体内が見える能力を
持つ人しか観察できない)と書いています。
(漢方医師・甄 立学)
日浦のコメント
【医学古今】身体にある命の門 命門穴
命門(めいもん)とは、背中の第2腰椎と第3腰椎の
棘突起の間(ほぼ腰背部の真中)にあるツボの名前です。
命の門という名前の由来について、書物にはさまざまな
解釈があります。
医学の理論では、命門の意味を次の二つの面から理解して
います。一つは、命門は腎の陽気を蓄えるところであり、
腎の陽気はまた元陽とも言い、生命の元動力です。
この元動力がなくなれば命が亡くなるので、ここは生死を
司る門だといいます。もう一つは、腎の陽気は生殖器官の
機能に強く関与しており、新しい生命を作る能力に影響する
という解釈です。新しい生命の誕生に関わる門なので、
命門と呼ばれたのです。
しかし医学の次元を超えた「修煉」という境地から見れば、
命門はまた違った意味に解釈されます。実は、漢方理論で
いう「経絡」や「ツボ」の名前の由来は、道家の修煉理論に
深く関わっており、言い換えれば、修煉の知識がなければ、
ツボの名前の意味を正しく理解することはできません。
鍼灸治療において、命門は幅広い適応症に使われています。
代表的症状は、冷え症、頻尿、精力減退、腰痛、膝関節痛、
月経痛、不正出血、下り物、ニキビ、喘息、頭痛、視力減退、
便秘、脱肛、痔漏、夜尿症、慢性下痢、腹痛、浮腫、貧血
などがあります。しかし注意すべきことは、陽虚(※1)に
よって起きた症状には使いやすいですが、同じような症状で
あっでも、陰虚(※2)によって起きた場合、慎重に使う
必要があります。(漢方医師・甄 立学)
※陽虚-寒がりで手足が冷えやすいといった「陽気」が
足りない症状。女性に多い。※陰虚-「陰」が不足し、
熱が出やすい症状。血や津液を含め、体に必要なうる
おいが不足している状態。
日浦のコメント