ヒーリング5

熱湯の中に浸かった幼児

ある日、ある工務店の社長から電話があり、

二歳児が、今まさに死にそうだから助けて

欲しいと言った。病院へ向かう車中にて、

なぜ社長は助けを求めたのか不思議だった。

真理の話しとかヒーリングの話しは誰にも

していないから。

 

病室のドアーには、面会謝絶の札があった。

部屋の中には、二人の看護婦さん、そして

泣きじゃくる社長夫婦がいて、蚊帳を吊った

ベッドの中には、全身に包帯を巻いた小さな

幼児がいた。酸素吸入なのか、細い管が口に

入れられていた。

奥さんの話しでは、夫婦げんかしていた際、

子供が湧きたつ熱湯の中に落ちたと言った。

むかしの風呂釜は、外炊きと言って、灯油の

バーナーが釜を加熱する。手動でバーナーを

止めないと、風呂の湯は沸騰するのだ。

全身大やけど、耳、目、口、呼吸器系、肺の

中にも熱湯が入っているので、今が山場だと

看護婦は切なそうに言った。

こんなにも悲惨な状況にあることを見て、

再び疑問が湧いた。なぜこの社長は、僕を

呼んだのか?と。

夫婦に断りを入れて、蚊帳の中に入った。

 

黄金の光を放つ手

余りにも悲惨な姿を見て、少しは感情的に

なったからだろう。いつもは誰にもやらない

手かざしをした。というか、手かざしをして

しまった。すると、何ということか!自分の

手の平から、美しい黄金の光が放射されて、

白い包帯だらけの全身を包んだ黄金の光り!

幼児を挟んだ対面には、四人がいて、目を丸く

しながら、大きな口を開けていた。

奥さんはクリスチャンだ。「この人、イエス様

かしら?いやいや、サタンかも知れない」と

思っていた。だから言った。「奥さんね、僕は

イエスもないし、サタンでもない。」と言葉を

返したら、なおも驚いていた奥さんだった。

人の手から、可視化される黄金の光が放射される

なんてこと、皆さんは、それを見たり聞いたり

しただろうか? 多分、無いだろうね。

 

シャンカラ、手から光を放つ

古代インドの伝説によれば、シャンカラと言う

聖者がいて、その彼は、訳アリのため、母の

死体を焼く葬儀の許可をもらえなかったらしく、

自分の土地で、薪を積んだ上に母の遺体を置き、

自分の手の平から光を放ち、薪を燃やして葬儀

したと伝えられている。これ実話なのだろう。

 

解脱した幼児

白い包帯に包まれた痛々しい幼児は、次の

ように声なき言葉を発した。

「あなたは、誰ですか?」と。

「君のお父さんの友達だよ」と。

「この光りは、何ですか?」と。

「君のやけどを治す光だよ」と。

「・・・・・・・・・・・・・・」

「わたしは、いま自分を悟りました。

それは、あなた様の光によってです。

いま自分を悟ったので、地上の体験は、

もはや必要がありません。帰ります。

だから、この光を止めてください。」

また加えて、「親への恩返しになるか

どうか分からないけれど、二日間は

頑張ります。あさっての12時ちょうど、

帰ります。そのように、両親に伝えて

ください」とそう言った。

この2歳児は、なんと解脱を果たした

のです。なんとも素晴らしい。

 

それから二日後の12時過ぎ、某工務店の

社長から電話があり、「娘は、いま帰り

ました。約束した日の12時まで頑張って!

ありがとうございました。」と涙声。

 

水子供養のウソ

この幼児は、上記の会話の通り、大人の

意識を持って語っていたということを、

皆さん知って欲しい。そして悟ったから

もう帰ると言ったのだ。

しかしながら世間では、水子供養だと言って

お金を取る団体がある。事実は、水子供養は

なんら必要が無いウソだということを人は

知らない。

先祖供養でお金を取るのも寺のため。

 

街のうわさ

このヒーリング体験は、四人の目撃者を

大いに誤解させたらしい。気味が悪いとか

怪しげな妖術を使う祈祷師だとか、なんだ

かんだと良くない噂にもなったようだ。

その反面、個人相談者がたくさんやってきて

彼らは、病気を治してくれとか、助けてくれ

とか、会社での僕のプライバシーがなくなり

もした。それらをぜんぶ断ったので、ドケチ

といううわさも流れたりした。

なぜ断ったのか?

来た人たちの誰もがお礼の品やお金を持って

来てはいない。お金が欲しい訳ではないが、

タダで奇跡をくれ、奇跡をくれ、と言う礼節を

欠いた人達がいて、そんな彼らが多忙な僕の

プライバシーを奪うのが嫌だった。

この体験から、ヒーリングしないことにした。

だから、自分にはヒーリングができる、という

ことを自慢した事もない。