ヒーリング1

重度な胃癌が一日で消えた

20歳の時、胃癌になったと知る。

水さえ飲めないので、暖めた牛乳にパンを

溶かして、やっと吞み込める状態だった。

このままなら、死ぬと知った。

しかしながらなぜか、癌も死も怖いとは

思わなかった。だが病名が分からないまま

死ぬのは良くないと思って、癌であるか

どうか、病院で検査をしてもらおうと、

大阪は高槻市駅付近にあった深井病院へ

行った。

撮影されたレントゲン写真と、カルテを

のぞき込めば、「重度な胃癌」と書いて

あって、レントゲン写真は、胃袋の入り口

部と出口部分に、野球のボールよりも少し

大きめの黒い腫瘍が2個あった。

「やはり癌か、道理で飲食ができない」と

納得した。

医者は、すぐ手術するとか、なんだかんだと

言っていたけれど、病名を確認しに来たので

あって、医者から胃癌を治してもらう気など

さらさらなかった。

胃癌になった理由は知らないが、自分の体に

生じた病気は、自分が治すのだ、という意識が

あったことを記憶している。

アパートに戻る途中、行きつけのカフェに行き、

コーヒーをオーダーした。マスターが来て、

どうしんだ?痩せたんじゃあないか?なにか

病気か?と言う。

『ははは、悩み多き年頃だからね~』と笑って

見せたが、笑えなかった。

この二十歳の若さで、親より先に死ぬとは!

そう思えば、親に対して、申し訳なくて、

大泣きした。涙入りのブラックコーヒーも

喉を通らない。

でも、煙草は吸っていたと思う。

タバコは、命よりも尊し?じゃあない。

花屋さんへ寄って、白ユリの花を1本だけ

買った。

稀代の天才科学者の二コラテスラだと、

3本?6本?9本買うのだろうか?

 

アパートの片付け、清掃を済ませると、

空の牛乳瓶に備えた1本の白百合が芳香を

部屋に満たしていた。そして、どこからとも

なく、匂い優しい白百合の濡れているよな

あの瞳の歌のメロディーが聞こえたような

気がした。 

そうだ、遺書を書こう。

しかし、この遺書と僕の死体を見るだろう

父と母を思うと、また涙があふれだして、

なかなか遺書が書けなかった。

 

実家の住所、父と母の名前、電話番号を

記載した遺書を書き終えて、それに通帳と

印鑑を添えた。僕は、布団の中で死ぬと

思っていたので、布団に入り大の字に寝た。

それは夢の中か、目覚めているときかは

知らないが、彼がこういった。「お前に

カルテを覗かせたのは、わたしだ。だから

お前は、病気の幹部とその症状を知った。

お前が思った通り、重度な胃癌なのだ。

だが、今から胃癌を治す方法を教える。

だから楽になる。安心して眠るがいい」と

言われた。彼とは、声なき存在ではあるが、

彼が胃がんを治すという意味は、安楽死させて

くれるものだと深く安心したものだ。

そこで意識を失った。

 

ここで説明を挿入します。

なぜ末期癌が、なぜ死が、少しも怖く

なかったのか?その訳は、二十歳と言えど、

いくた親戚や友人の死を目撃していたし、

人は必ず死するものと知っていたからです。

ただどこで、いつ、どのように死ぬかは、

誰も知らない。

これが本当に分かれば、死は恐れるものに

あらず。それは既に、生きたい、生きよう、

生きねばならないという生存欲求を超越して

いたからこそ、死は恐怖ではなかった。

この境地がヒーリングの基礎となるのです。

では、この続きを

朝の目覚め

安楽死できると思っていたが目が覚めた。

その目覚めは、体も心も大きなエネルギーに

満たされていたと知る。

胃の部分を押しても痛みが無い。水を飲め

そうな気がして、水道の蛇口にかぶりつき。

ごくん、ごくんと喉の鳴る音。水は胃袋に

届いていると実感した。痛みが無い。

おお、胃癌は完治したじゃあないか!

近所の食堂へ行き、豚かつライスを注文し、

豚カツを2枚も注文した。

ここからが凄いんだ。読者さん意味をくみ

取って欲しい。

こんな固い豚カツを2枚、ライスを食べたら

死ぬだろう!という想念が去来した。

だから空手の正拳の様に、すぐさま想念を

撃破した。すると、その想念は、二度と

現れなかった。これがヒーリングの妙。

豚カツを食べた後、カフェに行ってブラック

コーヒーを飲んだ。今度は、おいしく飲めた。

だがそれも涙入りコーヒーだった。

泣いた理由は、胃癌が完治した小さな喜び、

一方では、これからもまだ生きなければ

ならないという宿命の辛さ、この両方に対する

涙であった。

生きることは実のところ辛いことだと知って

いたようなのだ。

マスターが、どうして泣いてばかりいるんだ?

と心配していた。ジョークをかませようと、

「ここのコーヒーが旨すぎて涙が出たよ」と

いうと、マスターは笑いながら、今日のは

お代が要らないと言っていった。

やったぜ、ベイビー!(笑)

ピラフも食べておけばよかった。。。

癌が完治したことを病院へ行って確認する。

嫌がる医者に、レントゲンを要望した日浦。

レントゲン写真が医務室へ届いた。医者は

2枚のレントゲン写真を並べて、凝視した。

対比された写真の片方には、2個の野球の

ボール大のしこりは跡形も無く、食道、胃袋、

腸部分は少しの黒ずみも無く、綺麗だった。

これを持って、胃癌が完治したと僕は知る。

だがしかし「こんなことありえない!」と

絶句状態の医者であった。

医者へ行ったのは、癌は自分の思い込みなのか、

それとも事実の癌なのか、確認するためだった。

だから治しに行った訳ではない。これが不思議な

境地だという気持ちはあった。

重度な胃癌でさえ、自分で治せる確信はあれど、

なぜ完治するのか、理由を知らなかった。