辞めなさい

とある地下鉄に乗り、電車から降りて

改札方向へ向かう途中の出来事だった。

突如、駅員による拡声器かと思わせる

大きな大きな声が構内に響き渡った。

しかし、大声の主は、身だしなみの

良いビジネスマンであった。

構内の小さな荷物台に書類とペンを

出して、あたかも気が狂ったかの

ように怒りまくっていた。

あんなに汚い言葉、大声の罵声は、

今まで聞いたことがない。

相手も反応しているらしく、大声の

罵声は終わることが無かった。

駅員が数名駆けつけるも、彼の気迫に

押されてか誰も注意しない。

彼の経歴は、一瞬にして分かります。

彼が怒り狂う理由が見えたので、彼が

数秒だけ喋らない時間を見つけて、

「そんな会社なんか辞めなさい」と

メッセージを送った。もちろん無言。

テレパシーじゃあない。

狂乱して電話を掛けた彼は、結局の

ところ辞めさせられるだろう。

何となれば、怒りの時、ヒンズー教が

言う破壊神のシヴァが舞うのだから、

取引先との関係、会社との関係を壊し、

辞めることに違いはない。

すると管理社会から解放されたとき、

平和がやってくる。

 

細かなこと、実に些細なことまでが

採り決めされた管理社会では、人の

自由が奪われて、人が狂うも無理は

ないと思う。

我慢に我慢を重ねた心のマグマは、

ひょんなことから爆発もする。

自分を狂わせるような会社なんか

勤め人の義理を果たす必要は無い

のでは?

終身雇用制という日本の企業倫理は、

随分と昔の話し。雇用しやすい外人を

優先する時代でもある。

職場は、大事な収入源であるけれど、

使い捨ての歯車になってもいいのだ

ろうか?

自分の人生を歩んでいるのか、会社の

歯車でしかないのか、考察できる人は

少ないように思う。