ヒーリング3

車椅子の お母さん

このセミナーにおいて、受講生さんに

ヒーリングの仕方、それらの秘密を

教えるけれど、日浦自体は他者にヒー

リング治療はしないと伝えてある。

そしてまた、病人をセミナー会場へ

連れてこないようにと伝えています。

いわばセミナーのルールです。

 

ある日、その夫婦は、車椅子に乗った

お母さんを連れてきた。セミナーの

申し込みがない飛び入り参加。

この夫婦は、母の足を治してくれと言う

ではないか。自分達がお母さんの足を

治せるだけの力を既に与えられていると

言うのに。。。

 

一方で、車椅子のお母さんは、お願い

顔をしているではないか。。。

医者の話しでは、両ひざ関節の手術を

しないとダメで、仮に手術しても歩ける

保証は無いと言ったらしい。お母さんは、

20年間も車椅子。ということは死ぬまで

車椅子かも知れない。

 

車椅子のお母さんの前に行き、「お母さん、

足は治ったよ。立ちなさい」そう言った。

すると、車いすのお母さんや、他の受講生

さんは、けらけら笑い出した。

僕が冗談を言っていると思ったんだね。

再度、「さあ、立ちなさい」と言えば、

「はい」と返事して、すっくと床に立った。

「えー!!」と驚く受講生さんたち。

「やらせでしょう!?」と叫んだ受講生も

いましたね。

「お母さん、部屋の中を歩いてごらん」と

言うと、お母さんは、倒れるかも知れない

恐怖と立てたという奇跡の喜びが混在した

複雑な表情だった。

ところが、部屋の中をすたすたと歩きだし、

それから両手に拳を握り、「わー!!」と、

泣きながら、玄関ドアに向かって走り出して、

裸足のままで、外へ走り出した。

それを追う夫婦。受講生さんも全員が後を

追った。僕も後追いしてみるか。

ヒーリングの障害

話しを戻すと、お母さんを連れて来た時、

「君たち夫婦が、いまお母さんの足を治して

見なさい」そういった。

「それが出来ないんです」と言う夫婦。

「やりもしないで、できないとは、どういう

ことか」と問えば、家の中では何度か試した

けれど、お母さんの足は治りませんでした

との答え。

そこで、「ではもう一度、僕らの目の前で、

やってみよう」そう伝えたけれど、帰って

きた返事は、「人前で恥をかくだけだから

出来ません」と。

なんだって?恥とは、教えたことをやらない

ことではないのか?

 

隠された演出

この夫婦が、もし十数名の受講生さんの前で、

僕の勧めるように、お母さんに対し、ヒーリ

ングをトライしたなら、どうなったのか?

その答えは、黙って僕が治してあげた。

それは、夫婦がヒーリング効果を生んだと

思わせる演技ではあるけれど、お母さんの足は

完全に治り、夫婦は体験的にヒーリングの

スキルを身に着けることが出来たということ。

夫婦は、ヒーリング効果を見て、自分たちが

治したと思い込む。

それは、ヒーリングの秘儀が、彼ら夫婦に伝達

されたに等しく、その体験を再現する力を獲得

するということ。このチャンスを逃した夫婦。

 

健脚を証明したお母さん

裸足のまま、屋外へ走り出したお母さん。

20年間も歩いていない足なら、すたすたと

時に小走りで歩くことは困難なもの。

泣きながら街を裸足のまま、小走りに歩く

お母さんは、他人から見れば気違いだと

見受けられたのかも知れない。その足は、

現役の健脚そのものだった。

歩けなかった20年間のギャップは、委縮

した筋肉や筋、関節部など、一瞬の内に

完治したと言える。

そのセミナーから半年後、どうしても御礼の

食事を振舞いたいから遊びに来て欲しいとの

メールが来た。

だから二泊三日の滞在、お世話になった。

台所に立って、調理するお母さんの復帰は、

6人家族の全員がその恩恵を受けていた。

だから家族の全員から感謝された。

めでたし、めでたし。

終わり