バーテンダー

話しをべラミのボーイ体験に戻そう。

ある日、マネージャーに連れられて、

ビルの地下へ降りて行った。地下の

ドアーを開ければ、広大な広がりを

見せるフロアーがあり、テーブルが

少なめに置かれてあり、壁際に大きな

バーカンターがあり、カウンター内に

イケメンのバーテンダーがひとりいた。

カウンターの椅子には、ドアボーイを

始めた頃「あんた誰?」と質問をした

バブリーなおばさまがいた。この人が

ママだとは聞いていたが、ママと会話

するのは、今回が初めてである。

椅子を勧めながらママは「何か飲む?」

と聞くので、「はいでは、マティーニと

ブランディーをください。それを交互に

飲むと旨いのです」といった日浦。

各種のカクテルとか炭酸系とか、他の

アルコール等を別々のグラスに入れて、

それらを交互に飲むのは、お金が掛かる

けれど、本当に旨いものだよ諸君。

これが19歳の日浦式の飲み方なのだ(笑)

このような飲み方は、知らなかったという

ママは、「あんた学生だと言うけれど、

本当は、何者なの?」と驚いていた。

「新潟県の田舎者です」と答えた日浦。

<中略> 

ママが、日浦をバーカウンターに呼んだのは、

出世の道を示すためだったのだ。どのような

出世なのか?このビル自体と、クラブの運営権の

全部をこの日浦にくれると言うのだ。だから貰う

気があるのか?というママの問いもあった。

かつてマネージャーが日浦に暗示した出世街道とは、

このことだったのか?常識的に有りえない話しである。

いったい、どうなっているのか?このママは、何者なの

だろうか?

<中略>

「今からあなたは、暫くのあいだ、バーテンダーの

見習いをやりなさい。カクテルの作り方その他を、

この彼から学びなさい」と言ったママ。

「この地下で、バーテンダーを務めるのは、それが

出世なのだ。他のボーイの給料よりも高額だ」その

ようにマネージャーは言った。

この地下空間は、ホステス、ボーイには知らされない

のだという。ペントハウスのような価値をもつ地下

空間なのだと。

 

このような豪華な場へ案内され、また国際クラブの

べラミをくれてやると言うママとの出会いがあり、

運命とは、実に不思議なものだと思った。

数か月前までは、どん底の乞食の身であった者が、

今では、様々なカクテルの作り方とか、シェーカーの

振り方を学んでいて、そして、この地下へ招かれる

スペシャルゲストに対する接客の仕方と交渉術の法方、

交渉権とを学んだのであった。

このような現実が立現れたのは、誰もが信じがたい

素晴らしい出世に違いない。