出世街道へ

ドアボーイの仕事、すなわち接客対応にも

すっかり慣れた頃、見るからにバブリーな

姿の、おばさまがやって来て、僕を見るなり、

「あんた誰なの?」と質問された。しばらく、

じーっと僕の目を見ていたが、「よいね」と

いう謎めいた言葉を残して、店の中に入って

いった。

?? なにがよいのか?顔か?(笑)

それからしばらくして、マネージャーから

呼ばれた。あのバブリーな姿の おばさんは、

この店のママであり、事実上のオーナーだと

言った。そして、「君をママが褒めていたぞ、

だから出世が約束されたんだ」そう言った。

「ママの命令だから、今からホールに入り、

ボーイ・ウエイターをするように」と言った。

「はい」と返事をしたが、ドアボーイから

ホール内のボーイになるのが出世なのか?

という思いはあったが、初めて店内ホールに

入れば、その豪華さに圧倒された日浦だった。

思いのほか広大な広さをもつ床には、ゆったり

とした位置関係をもつ豪華な椅子とテーブルが

沢山あった。天井には様々なシャンデリアが

幾つもぶら下がっていたことも驚きだった。

過去に見たことも無い美女たちのファッション

ショーかとさえ思わせる大勢のホステス達の

きらびやかな衣装に幻惑した。田舎者の日浦に

とっては、初めて見る国際的社交場なのだ。

思わず、足がすくみそうになったことを覚えて

いる。

そのビルは7階建て。5つのフロアーを使って

300人のホステスが接客するのだと言った。

あのような広大な社交クラブは、現代にもう

無いのではないだろうか。

このナイトクラブのボーイをやることが、

誰もが凄い!と言うしかない出世街道を歩む

ことになるとは、夢にも思わなかった。

もう少し続くよ