ドアボーイ

マネージャーの言うのは、彼が学生の頃、

日浦と同じく、乞食の身になってしまい、

このクラブを訪ねたのだと言う。そして、

ドアボーイに採用してもらい、現在の自分が

あると語った。自分の過去徒同じ境遇の日浦を

見て、自分の過去と重なったという。

「もし別の人なら、僕は不採用だったかも

知れないですね?」と聞けば、

「まあ そうだな」と笑っていた。

「助けてもらい、有り難うございます!」

このマネージャーから乞食の日浦は救って

もらったわけだ。滅多にないことだろう。

世間に善い人もいるんだなと感じ入った。

それから、上下の黒服と靴、ワイシャツ、

蝶ネクタイを手渡されて、更衣室へと

案内された。着替えた姿を鏡に映せば、

そこには、びっくりするほどかっこいい

髪の毛ふさふさの黒服姿のイケメンが

いた!⇦ 自分から言うか笑

この時、生まれて初めてドアボーイを

体験した。橋の下に寝起きするよりも、

寮もあるドアボーイがいいな!そう思った。

店の営業時間が終わると、一階の店舗に

集合させられ、ホール係りのボーイ達も

やってきた。ボーイ達は、みな大学生だと

聞いた。中には知った顔もいた(笑)

そこには、大きな円形テーブルがあり、

ボーイたちが、客の残したオードブル

とか、他の食材、またビール、ワイン、

ウイスキーをどんどんと運んできたでは

ないか。それらの食材は、現代の一流

シティーホテルのバイキング料理よりも

豪華であった。リーダーの合図によって、

一斉に「いただきます!」といってから、

それらを食べる黒服たち。50人ほどが

食べても、まだ余っている食材。高級な

酒をたらふく飲み、食したことのない

高級食材が腹を満たした。飲み食いを

しながら、学生同士の交流ができる場で

あった。そこでは、乞食の暮らしとは、

天と地の差があったのは言う間でもない。

人は、環境にも左右されるものだと知る。

昨日までは、いつ野たれ死んでもいいと

思っていたが、活路が開かれたいまは、

死を望む思いは消え去っていて、生きる

希望が漲っていた。なんとも身変わりの

素早いマインドなのだ(笑)

そしてまた、これから先は、どんどんと

好転してゆくのだと言う理由は知らないが

確信に満ちたフィーリングがやってきた。

そして、そのように好転してゆくのだ。