関門突破

警察官が人を殴っていいのですか?

これって傷害事件になりませんかね?

と、驚きの言葉を日浦から聞いた中川先生、

顔面が固まりましたわ(笑)

 

中川先生:「40歳を過ぎてもまだバイクに乗り

たいのか?」

日浦:「はい。バイクに年齢はありませんよ。

いまよりも高齢化して腰が曲がったら、サーキットを

走るような前傾姿勢のバイクが体に馴染むでしょう」

そういうと、笑いたいのに笑いを我慢する先生だった。

 

受講を認めない、いや認めて欲しい、という問答が

1時間ほど続いた。中川先生は、日浦の論法に勝て

なくなり、大いに困っていた。何とかして受講を

断念させないといけないと考えていた。

中川二輪教習所には、様々な経歴を持つ人が来る。

もし、教習所のコースを連続して2時間走れるなら

入門を許可してやろうと言った。

狭い土地の中には、スラローム、一本橋、踏み切り、

エスクランク、単制動コースなどがあり、直線部分が

殆どない。クラッチを切る左手、前ブレーキをかける

右手、両手の握力は頻繁に使わなければならない。

こんな場所なら1時間もやれば、両手が動かなくなる

だろうと思った。

困惑した日浦の顔を見ながら、中川先生は条件をだした。

「この試験場を一時も停止せず、連続走行した最高の

記録は、なんと4時間だ。もし君が4時間を超えて走り

続けるなら、入門を認めてやろう」そういう先生の顔は、

もう勝ち誇ったかのような表情だった。最初は2時間と言い

今度は4時間以上だと言う中川先生。これが、お断りの

条件だったのだ。

連続走行が4時間だって・・・!?本当に、記録がある

ことなのか?ウソじゃあないのか?

 

大型バイクに乗りたい一心は、

道なき道を開くだろう。

 

僕は言った。「先生、警察官が頭を殴ったことは

忘れます。しかし、4時間を超えて乗り続けたら、

入門を許可すると言う今の言葉は、約束ですよ?」

中川先生は、微笑みながら「約束する」と言った。

40歳を過ぎたおじさんに出来る訳がないと踏んでいる。

ナナ半バイクのタンクに、ガソリンを満タンにして

もらい、借りたヘルメットをかぶる。スーツに

ネクタイ姿のおじさん。走行の状態は省略しよう。

朝から走りだして、バイクを降りてトイレにも行かず、

ランチも食べず、ただひたすら走り続けた。そして、

いつの間にか夕暮れが来た。体が硬直して、バイクと

共に倒れた日浦。なんと、日浦は8時間もの連蔵走行を

果たしたのだ!

 

中川二輪教室の記録破り!

関門は突破した!

 

バイクを降りれば、手首は、腕と同じ太さになって、

指は、野球のグローブのように太く腫れあがり、

紫色をしていて、指も手首も動かなかった。

 

中川先生、そこのインストラクター、練習生の皆が

大きな拍手をしてくれた。

鬼の中川先生は、涙を流しながら、日浦に抱きついた。

そして、約束通り、門下生にすると言ってくれた。

というか、そう言わざるを得ないだろう。

8時間も連続走行において、一番に驚いたのは、この

日浦だろう。

 

また続くかな・・・