赤ヘルライダー

二人の娘が高校生の頃、学校の給食棟が

改修工事のため弁当を持参させられた。

このころの僕は料理作りもかなり上達し、

近所からもシェフさんと呼ばれたりした。

娘の弁当は、大きな重箱の二段重ねになり、

十数種類ものおかずがあった。食べきれない

量だから友達に分けると、喜ばれたそうだ。

家政科の先生も「あなたのお父さん、プロの

コックさん?」と言いながら時々重箱弁当を

食べたそうな。後に、この先生、日浦から

料理を習いたいと言った。料理を教えたか

教えなかったか、覚えてはいない。

仕事は多忙であったけれど、食事も弁当も、

インスタント物は決して使わなかった。

料理にも研究心をもってトライしたからだ。

 

ある日、長女は弁当を忘れて登校した。

学校の近くには、コンビニが無いのだ。

仕事が忙しい。でも届けないといけない。

 

そうだ!娘を喜ばしてあげよう。

そう思い、ナナ半(750CC)の大型バイクに

乗って弁当を届けに行った。始業前だから教室の

窓は生徒が鈴なり状態だ。その生徒たちは、

バイクを見て、ギャーギャーと騒ぎ出した。

窓から生徒が落ちそうな危ない状況だった。

始業前の校庭に現れたのは、赤いヘルメットを

被り、黒のライダースーツで身を包み、レーバン

のサングラス、腕に赤いバンダナを付けた

かっちょええ~?赤ヘルライダー男が登場した

からだ。

 

キャー  かっこいいー!

 

と騒ぐ生徒たち。大型バイクに乗った謎の

ライダーは、生徒たちに手を振った。そして、

アクセルをふかし、大きなバイクをスピン

ターンさせて見せれば、またまた歓声が沸き

上がった。そこへ長女が出てきて、

「パパ、かっこいい!

私のために、こんな演出を

してくれたんだね!有り難う。

パパ大好き♡」

と言いながら、弁当を持って校舎に消えた。

そこで授業開始のベルが鳴り、生徒たちの姿は

教室内に消えた。帰ろうとしたその時、先生が

やってきて、教員室に来いという。

はは~ん、暴走族だと勘違いしたんだろうな。

父親だと分かれば、おとがめなしだろう。

まあ教員室へ行ってみるか。。。

教員室には、数人の先生がいたが、けげんな顔を

していた。暴走族らしき者が、教員室に来たのが

珍しいのだろう。

メットと、サングラスをとれば、「え!あの有名な

日浦さん?」と、驚いていた。

「はいそうです。僕は当校の生徒であるマリと

ハルエの父親です」と言うと、またまた驚いた

先生たち。「暴走族じゃあなかったんですね」と

僕を呼びつけた女教師が言った。

「暴走族ではないけれど、時々路上とか、峠道

出は、暴走行為もしますよ。それがなにか問題で

すか?」と言えば、「いいえ学校外のことは、

学校に関係ありません」と言っていた。

「では、さようなら」と言ってバイクを走らせた。

ただ弁当を届けたことが、後々の問題の火種にも

なることも知らずに。。。 

続くよ